2019年7月11日木曜日

第870回 例会(2019年7月9日)

第870回 バンコクスリウォンロータリークラブ議事録

日時:201979日(火)19-20
開催場所:INTERCONTINENTAL HOTEL 4
出席者:《スリウォンRCメンバー》
鈴木、小田原、飯田直樹、佐藤、伊原
《来訪RTN
安藤様
《ゲスト》
貝瀬秋彦様、池内様、石神様、松永様、萬様、保科様、岡様、山脇様
(パーソネルコンサルタント社)磯村、神田、中田、植木()
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本日の議題
《会長報告:鈴木より》
・ロータリークラブは7月より新年度 → 立川会長の期がスタート。
・今年のロータリークラブのスローガンは”世界を繋ぐ”
7/16 AsalhaBucha(三宝祭)
お釈迦様が初めて弟子たちに説法をした日
定例会は休み
7/17 Buddist lent day
入安居:朝の托鉢を止めて、寺に入る日
→禁酒日(厳重な禁止日)
7/15  鈴木前会長の誕生日会
20:00-23:00 リスペクトンにてを開催。よろしければご来訪ください。
 《幹事報告:伊原より》
・第12火曜は立川会長が仕事の都合により不在のため、会長代理を立てる。
・会長代行のルールの詳細は7/23の理事会にて決定。
・翌月分を理事会にて決定して行く。
→交代で会長代理を務めることで、都度誰が務めるかの楽しみを出す。
  特定の人の負担を軽減する。
・クラブ会費の徴収はスレッド、メールにて連絡済み。
→現金または小切手を手渡しにするか銀行振り込み。
・ガバナー訪問は9/24に決定。
・会長交代式(7/30):日本人タイ人合わせて、現在8テーブル分、集客予定。

《貝瀬様 卓話:総選挙を通じてみたタイ社会》
[経歴]
-20042007年 バンコク
-20122015年 ソウル
-2007~年      再びバンコク
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・小田原より5月に選挙についての話の依頼を受け講話。
3/24に総選挙が実施された。
・軍事政権を率いていたプラユット氏が6/5に首相に任命された
・政治は立場によって、経歴によって、人によって見方が異なる。
 今回は瀬貝様の視点から講話。

○タクシンの登場とタイ社会の政治対立○
・渡タイ後すぐはタクシンが首相で絶頂期であった。一方で、タクシン政権は反発も大きくあった。
・タイの社会は昔から高級官僚、軍人、富裕層などの伝統的な権力層が政権を握ってきた。
・タクシンの登場により、大きく構造が変わってきた。
・タクシンは元々警察官であるが、自身で事業を起こし富裕層になった。
・タクシンが政治参入時に、農村部と都心貧困部に対して目をつけ、政策を打ち出した(農民は人数が多い)。
→「30THBで医療を受けられる」などの政策を打ち出す。
2001年の選挙でタクシン氏所属の党が第一党となった。
2005年の選挙では過半数を取得(一つの政党が単独過半数は初)。
→かつての伝統的な地位の人からの反発。
→タクシン氏自身も権力を持つことで傲慢化(メディアに圧力をかけるなど)。
2006年にタクシン派vs反タクシン派の対立が明確化。
2006年に軍がクーデターを起こしタクシン派が放逐された。
2007年の総選挙で再度タクシンが当選。
→更に軍事政権派の反発が拡大。
→空港でクーデターが発生し、便が乱れるなど混乱が起こる。
→民主党支持者がASEAN首脳会議に流れ込み、会議が中止になるなどの問題発生。
2014年のクーデター:タクシン派の政党を軍が力で覆した。
→タクシン政権崩落。軍政の時代のスタート。

○今回の軍政と総選挙の特徴○
2006年と2014年の比較
·         2006年:クーデター後、1年余りで選挙を実施。
·         2014年:クーデター後、5年間準備の期間を設け、選挙を実施
・選挙制度が激変。全く新しい選挙制度が打ち立てられた。
→大きな政党が、大勝できないような制度に変更された。
→上院議員250人はすべて任命制になった(かつては半分が任命制、半分が選挙で決定だった)。
→現在政権を持つ、軍政側が任命できるような制度に変更された。
→選挙結果がどうなろうと、上院議員250人(軍政側)が次の国会にはいる仕組み。
・タイでも最初の国会で首相を選ぶ仕組み。
→かつては下院議員のみの投票により首相を決定していたが、上院議員の人も投票できる制度になった。
 (計750人の半数を取得した人が首相となる)
→上院議員250名を抱えている軍政側が圧倒的に有利な状況。
5年間をかけ、制度的にタクシン派が勝てないような仕組みを構築した。

○総選挙の結果は○
・下院議員500席のうち、タクシン派は136席を獲得(第一党)

・タクシン派
→タイ国家維持党(日本語訳)はウポンラット王女を首相候補に打診。
→現国王の反感を買い、政党解散。→タクシン派は更に打撃を受ける。
・軍政側
→国民国家の力党(日本語訳)を新党として設立。結果的に116席獲得(第二党)
→新しい政党だから議員の候補は不在。かつてどこかで政治家としての経験がある人や、元タクシン派の政党の人などを寄せ集めた。
→ありとあらゆる方法で政治家を動かしたとの噂あり。
・他の政党を巻き込み多数は工作を実施。
→タクシン派は7党(246):軍政側は19党(254席)
→プラユット氏が首相になることが確定。過半数を上回らなくても、プラユット氏は首相になれたが、今後の政権で優位に立つために、必ず首相になる必要があった。
・新未来党が第3党となった(党首タナトーン)
→タナトーン氏を首相候補に立てて、プラユット氏と対立→プラユット氏が当選
→首相当選から2週間で新政権が発足すると言われていたが、19党連立のため結束が保てない状況にあった。
7/4、5に新政権発足→新政権は6/22,23ASEAN首脳会議には間に合わず、首相以外は軍政時の閣僚で迎え入れた。

〇総選挙を経て見えたタイ社会の課題は〇
・軍事政権側は、当初の目的であったタクシン派の崩落を達成。
→タイ社会の課題は改善したか?
→改善していない。
→タクシン派政治の時代のクーデターは政治のリセット、”国民の和解を目指す”が目的。
→しかし、軍政側は政権を掴んでも、タクシン派と反タクシン派の和解に対して何も対策をたてなかった。
→結果として、対立の溝は埋まらないまま現在まで来ている(10年以上解決していない)。
・理由
→格差構造の差が広がっている。
「バンコクは成長、地方は未成長」 により農村地域の年長者のタクシン政権への思いが強い(地方有権者はタクシン派への信仰が強い)。一方、都心部は反タクシン派が多い。中間層以上の人々は、タクシンの登場により秩序が乱され、混乱を生んでいると考える人が多い。
双方がそれぞれ上記のような考えがあるため、溝が埋まらない。



・新未来党の登場(今までのタクシン派の政党とは毛色が大きく異なる)
→タクシン氏は自体は元々反軍政ではない。軍のクーデターにより政権が覆されることが多かったため、反軍政のイメージが着いた。
→新未来等は反軍政を謳っている (ex. 軍予算カット、徴兵制廃止など)。
→若い世代から票を集めている(81席獲得で第3党)。
→タクシン派vs反タクシン派から、軍政側vs反軍政側へと、対立構図が変わって行くと考えられている。
→今後、対立構造は注目される部分となる。
・新未来党のタナトーン氏はインタビューからも人と違う価値観を持っている。
→タマサート大学出身(反権力思考が強い)。
→自身の生活に関わらず、自身の価値観に基づいて政治を進めて行くと考えられている。
→しかし、すでに政権側から大きな圧力がかけられている。
→議員に当選したが、メディア関連株を所持しているなどのことから、議員活動の一時停止を命じられている。
→いずれ議員資格を剥奪されると噂されている。
→影響力が強いということの裏返し。→今後の動向に注目。
・プラユット政権が7月第3週より発足。
→政権の顔ぶれについては、主だったメンバーに大きな変化はなし。そのため、方向性も大きな変更はない。
→しかし、19の政党の連立であり多様な意見があることから、政策の一致は難しい。
→各政党から不満や意見があるため、政権が安定したものになるか不安の声もある。
→今後は民政のため、全て議会で決まって行くが、野党から追求された際に、対応し、まとめられるかの疑惑が出ている。(プラユット氏がかなり短気のため)→8月の予算審議に注目。
 ・ビジネスの観点では、政権が安定するかどうかが関心のあるポイント。しかし、メディアの観点としては、民主主義に向かっているかが関心の強いところ。
→メディアとビジネスでは観点が異なるため、今後の政権に対して意見を頂戴していきたい。

《鈴木より》
20時閉会点鐘 より

Q&A
Q:軍事政権側がどのような公約を掲げて政権を奪取したか?(飯田)
A:基本的には軍政がかつてやってきた実績(経済対応など)をPRしつつ、農産物の価格を上げ、最低賃金を上げると公約に上げている。
→基本的には政党で大きな公約に変化はない。野党が公約として上げているものも取り入れている。

Q:タクシン派、軍事政権派に大きな違いがないように思える。そのため、今回は民主党が一人負けをしているように見えたが、どのように考えているか?(佐藤)
A:今は地方には変わらずタクシン派が多いが、時代が変われば、タクシン派が薄れると考えている。
  今回の選挙で民主党は保守的であったため、信頼が薄れ、魅力が一切ないと思われている。
  →今後、民主党がなくなる可能性もある。
  何が主体性党なのかわからない状態になってきている。

Q:プレムがいなくなった際の影響はどのように考えているか?(小田原)
A:かつてプレムが所属していた政党とは現在は違うため、現在、影響力は薄れているとの意見が多い。

Q:王室の政治関与が強まってきていると思われるが、どのように考えているか?(政治と王室の距離感が不明瞭)(池内様)
A:現在、軍も国王の意向がわかっていない。現在の王はあまり表立って出てこないため、民衆も先が見えていないのが現状。
→不安定化の要因になりかねない。
Q:軍と王室の間で何かある可能性があるか?(池内様)
A:今後、意向が対立し、緊張関係が生まれることで可能性としては考えられる。
Q:軍、王室、国民の不安定さが生まれることについて、どのように考えるか?(池内様)
A:不安定になると考えている。国民も同様に考えていると思われる。

以上


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